コラム

家づくりのこと

近畿大学副学長 岩前篤教授 トークセッション<後編>健康な住まいがもたらす豊かな暮らしの可能性

近畿大学副学長の岩前篤教授をお招きして行った、スマイクホームの新ブランド発表イベント。前編では、岩前教授より健康な住まいの重要性についてご解説いただきました。後編では、G2基準の高断熱住宅が実際の暮らしにもたらす具体的なメリットと、岩前教授とスマイクホーム代表取締役の大石剛史、そしてファシリテーターのコマツアキラ氏によるトークセッションの様子をお届けします。


登壇者紹介

・近畿大学副学長 建築学部教授 岩前 篤 教授

 近畿大学副学長 建築学部教授

 建築学部 建築学科 総合理工学研究科所属

 建築物における健康で快適でエネルギー性能に優れた住宅を研究。日本・アジア気候特性と暮らし方に基づく計画手法、ゼロエネ技術、健康維持増進技術を対象とした研究を行う。

・株式会社LOCAS 取締役/(一社)日本人の健康をつくる住宅断熱リフォーム推進協議会事務局長コマツアキラ氏

 ・株式会社スマイクホーム 代表取締役 大石剛史


G2以上の高断熱化がもたらす実際のメリット

前編ではHEAT20のG2基準についてお話しいただきましたが、スマイクホームが注文住宅でG2基準を標準として取り入れていく中で、実際にお客様の暮らしにどのような具体的なメリットがもたらされるのでしょうか。岩前教授に詳しくお聞きしました。

岩前教授:

G2以上の高断熱化には多くのメリットがあります。まずは健康維持増進ですね。夏は涼しく過ごせますし、冬は朝起きるのが楽になるなど暮らしやすくなります。

赤ちゃんが生まれたとき、1人目は実家に帰って産むことが多いと思いますが、高断熱の家では2人目からは実家のお母さんに来てもらうスタイルがとても多いです。実家は寒いですからね。夜中の授乳も、寒い家では布団をかぶりながら大変な思いをしますが、暖かい家ならダイニングでも寒い思いをすることなく、テレビを見ながら行えます。

エアコンは暖房用に1台、冷房用1台で家全体をカバーできます。それも4畳半用や6畳用の小型エアコンで十分です。メンテナンスコストも大幅に削減され、断熱の初期費用はすぐに回収できます。

また高断熱の家は温度がどこも一定になるので、家族それぞれが自分らしく過ごせる空間が広がります。

住宅会社の教育的役割と地域経済への貢献

「高断熱の家は居場所が増える」ということは、逆に言うと断熱性の低い住宅では冬場の間取りが極端に狭くなってしまうということですね。

岩前教授:

そうですね。私の実家なんて未だにコタツの周辺だけですから。他にも高断熱住宅では冬用の布団が減る、押し入れ収納が少なくて済む、感染症の家庭内感染リスクが減るなどのメリットがあります。

こうしたメリットを、これから家を建てる方にぜひ知っていただきたいのです。「知らずに家を建てて失敗した」ということは未だに多くあります。お忙しい中で、住まいのことを十分に勉強できない方も多くいらっしゃいますが、それをサポートするのも住宅会社の重要な役割だと私は考えています。

地域が埋没するか賑やかになるかの核となるのが住宅会社です。住宅は経済に与える影響が大きく、家を建てると車も変わり、家具や服なども新調するなど、さまざまなものが連動して動きます。住宅会社は地域経済のスタートであり、コアとなる存在なのです。

スマイクホームさんのような会社が広島の核となって、行政も巻き込んで広島のあるべき姿を打ち出していくような存在になっていただければと思います。

高断熱住宅がコミュニティに与える影響

高断熱住宅の普及について、「快適すぎて外に出なくなる」という心配の声もあるかと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。

岩前教授:

1970年代の北海道では、高断熱の家が普及し始めた際「暖かい家に住むと外に出なくなり、地域コミュニティが薄れるのではないか」という批判がありました。しかし実際は逆で、家が暖かい方が外に出やすくなります。寒い家の方が閉じこもりがちになるのです。

例えば北欧のような寒冷地では高断熱住宅が一般的ですが、そこでは晩ご飯の後にご夫婦で散歩する習慣があります。そうした散歩で近隣の方と出会い、情報交換をすることで地域コミュニティが育成されていくのです。

このような夜の散歩という習慣は日本ではまだほとんど定着していませんが、住宅団地レベルでの開発時にこうした要素をヒントとして取り入れることができれば、地域のコミュニティ形成により良い効果をもたらすのではないでしょうか。

将来的に「スマイクタウン」のような住宅団地開発をされる際には、ぜひ実現していただきたいですね。ただ治安が悪くなると人が外に出にくくなり、健康度が下がるというデータもあります。治安を改善することは非常に重要な使命なので、そうした開発では「治安」もキーワードに入れ、防犯カメラの設置など安全な街づくりにも取り組んでいただきたいと思います。

大石社長: はい、わかりました。夢が膨らみます!

スマイクホームが目指す「平和を育む」住まい

新ブランドではコンセプトの最後に「平和」という言葉が使われていましたが、これはどのような思いで入れられたのでしょうか。

大石社長: 

私たち広島で生まれ育った人間は、小さい頃から平和学習を受けてきました。学習内容は過去の戦争を振り返り、同じ過ちを繰り返さないというものでしたが、私たちスマイクホームが目指したいのは、これからの暮らしの中で日々育んでいく地域の元気、家庭のコミュニティです。

世界規模でできることはないかもしれませんが、地域の平和や家庭のコミュニティなど、身近な平和を育むことは目指していけるのではないかと考え、「平和を育む」という言葉を入れさせていただきました。

コマツ氏:

打ち合わせの際、大石社長は「平和とは矛盾の許容を育む一番の世界」ともおっしゃっていました。例えば性能を上げれば価格も上がってしまう。G2を標準にすると坪単価が3桁万円になってしまうかもしれない。でもコストも抑えなければならない。この矛盾をイノベーションで乗り越えていくことが重要ですね。

スマイクホームさんの「住まい」そして「育む」というコンセプトの最後に、「平和」という言葉が入っているのは、本当に感動し、尊敬しているところです。

岩前教授:

広島ならではの考え方ですね。広島以外でこういう言葉が出てくることはないと思います。私もなるほどと思いました。

対談を終えて

今回の対談では、大阪関西万博が示す未来のビジョンから始まり、「健康」こそが豊かな暮らしの基盤であることを岩前教授から学ばせていただきました。

岩前教授とのトークセッションを通じて明らかになったのは、「健康な住宅」は、住む人の身体的健康だけでなく、精神的豊かさ、家族や地域との絆、そして社会の平和にまで貢献する可能性を秘めているということです。

スマイクホームは新ブランドミッション「emotive day〜人生にもっと感動を〜」のもと、「平和を育む」住まいづくりを通じて、お客様一人ひとりの豊かな暮らしの実現と、地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。

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